【#読書】「インタビュー・ウィズ・ザ・プリズナー」皆川博子 ……悲しいが救いが
「開かせていただき光栄です」からのシリーズ3作目。前2作は読んだ。ただ、出版はずいぶん前だった。前作の内容を覚えてない。
前作も、前々作も、血まみれだった。作品のバックグラウンドが、旧世紀ロンドンでの「解剖」だ。血が出る。死体が出る。内臓も出る。ただ、グロではなかった。
血まみれだったが、今回は背景が違う。戦争だ。アメリカ独立戦争。それに、アメリカ先住民と、イギリスからの入植者、その混血のキャラクターが、主要な登場人物だ。ひとつふたつの殺人事件と、悲しさの物量が違う。
最終盤に作者が、皆川博子が示したものは……救い、ではないのだろう。ただ、自分は救われた。作者らしい決着のつけ方だと思った。同時に、こういうやり方もあるのかと思った。しかし同時に、作者らしい決着の付け方だとも思う。
シリーズ最初からの登場人物が二人。ロンドンで右往左往していた頃とずいぶん違う。この作品を読んでから思い出すと、以前の彼らは若かった。彼らも、自分も、遠いところまで来たのだ。

【#読書】(小説)「ピエタとトランジ」藤野可織 ……死ぬことは死ぬことでしかない。