【#読書】「ネクロポリス」恩田陸

……「ネクロポリス」。

……。

言葉だけで、単語を舌で転がすだけで。禍々しさを感じる。

階段を下り、地下室の扉を開けたら正面の壁にバカでかい黒の十字架があり、しかも壁面は真っ赤な血で汚されている。そして、結果には腹を切り裂かれた羊が……。というイメージだ。どんなだ。
ただ。ただ、作者である恩田陸さんも、すっごく、すっごくおおまかに言えば、そんなイメージをお持ちだったのではないかと、推察する。

だって筋立てが凄いもの。

「物語の舞台はアナザー・ヒル。そこは英国による植民地支配の後、日本の文化が輸入した歴史を持つ極東の島国V・ファーの聖地で、死者たちが現地に実体ある存在して還ってくるというのだ。そして、死者たちがやってくる、”ヒガン”という祝祭の期間……」。

これはあれよ。

少女漫画よ。

「70年代から80年代の金髪キラキラな人達が、少なくとも活字上は日本語を喋ってる、あれ?」の見事な解決策よ。
素晴らしい。

そいで。背景に、設定に素晴らしく力が入っていて。
そして、そして本編は……。
えー、本編は……。
……。
……そこは是非、ぜひぜひ作品を読んでいただきたい。うむ。
上下2巻。長い。しかし文庫もある。ちゃんとある。

似て非なるものだとは思うんだけれども、現代大流行りの転生モノも根っこは、背景は、こういったイメージなのかもしれない。

 

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