【#読書】(ノンフィクション)「復興するハイチ 震災から、そして貧困から 医師たちの闘いの記録2010-11」 ポール・ファーマー 著 岩田健太郎 訳

医師、岩田健太郎さんが、どこかでこの本のことを勧めておられた(と思う)。なので読んでみた。著者はアメリカ人医師。

以下、本書の紹介文より引用。


「2010年1月12日午後4時53分、ハイチの首都ポルトープランス近郊を震源とするマグニチュード7の地震が発生した。
大統領府や国連本部を含む無数のビルが倒壊。多くの人がコンクリートの下敷きとなり、100万人以上が雨露をしのぐ屋根を失った。死者数は31万6000人に上ると言われる。
カリブ海の小国ハイチは、1804年に世界初の黒人による共和国として建国して以来、苦難の歴史を歩んできた――
独立戦争後、裕福な敗戦国フランスが貧しい戦勝国ハイチに課した前代未聞の賠償金、100年にわたるその支払い、米国による民主化の妨害、独裁政権と秘密警察の暗躍、
国民の70%以上が1日2米ドル以下で暮らす貧困、そして2004年と2008年のハリケーンによる甚大な被害。その復興の道半ばで起きたのが、この大地震だった。
本書は、ハイチで30年にわたって医療活動を行ってきた著者とそのチームの、今世紀最悪の緊急事態における闘いの記録である。」
(引用終わり)

半分ほど読んで、地震が起きてから、医療が進みだした辺りまで読み、
「我々は、私たちはあまりにも悲しみと恐れに縛られていないか」という感想を一瞬持った。ハイチの人々や医療に参加した若者の熱意に比べ。
しかし、読み終わり、この規模の復興というのはやはり、とてつもなく大変なことなのだと思う。
この国でも、誰が指揮しても、人の考えはまとまらず混乱し、さまざまな政策が行き交い思惑も行き交い、物事は簡単には進まない。本書にはうまくいかなかったことも、著者の迷いも冷静に書かれている。
著者はハイチやルワンダで30年以上医療活動を行い、病院建設などいくつもの成果を残してきた。困難さに相対したときの態度を教えてくれる。
それと、冷静さだ、本書には怒りや悲しみはあっても、恨みはない。なんというか、マイナスのエネルギーが少ない。動き続けること、考えさせられる。

別の感想
いや、それにしてもアメリカ人強いはタフだわ。個人の災害援助のスピードも早い。地震が起きて何日か後には物資輸送のため個人のプライベートジェットが貸し出される。
そのタフさが21世紀のハイチを助け、19世紀ー20世紀のハイチからいろんなものを収奪した。(収奪をしたのはアメリカだけではないが)(そして、収奪のこともこの本にはちゃんと書いてある)

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