劇団静芸公演 井上ひさし作「マンザナ、わが町」(静岡市民文化会館中ホール)……彼女たちはそのあとどうなったのだろう。

役者さんが素直な演技をされていた。それにより、井上作品の凄みが素直に伝わってきたと思う。時代感にこだわった美術だった。市民文化会館中ホールの舞台面はなにせけっこう広いのだけど、しっかりと埋まっていた。あれだけの物量を用意するのは大変だったと思う。
あらためて、井上ひさしの戯曲の力強さを感じた。声高な主張は、それほどない。けど、観ている側に共感させる問いがある。日本的なものとは?アメリカ的なものとは?戦争とは?自分なんかだとけっこう「書いて」しまうのだけど、なんだろう、書かないこと、削ることの大事さを感じた。想像した。
これも、書かれてはいないことだ。自分は、自分の身に置き換え「どうしたら絶望せずにいられるか」この問いを、作品から、感じた。
自分は ”アメリカ人”のはずなのに。敵国人と差別され、収容所に押し込まれ、自由な抗議を踏みにじられ「このままでは気が狂ってしまいそう」そういうひとことが、たしか、セリフにあった。

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