読書会のために読んだ。サリンジャー。「ライ麦畑でつかまえて」。ミーハーだから村上春樹訳で読んだ。
未読だった。すまん。50歳すぎてから読むものでもない。どうせ読むのだったらもう少し早く読んどくべきだった。すまん。謝る。誰に向かって謝ってるのか分からないが。謝る。以下の文章はその前提で読んで欲しい。
なんでこの小説がそんなに売れたのか、よく分からない(個人の感想です)。
主人公のホールデン・コールフィールドくんは、純粋なんだ。純粋なんだろう。純粋だから、周りを受け入れることが出来ない。文句ばかり言っている。読んでいて思った。「中二病じゃん」読書会でも”こじらせ男子”と言われていた。その通りだ。どうせこじらせているなら俺は、アラン・シリトー「長距離走者の孤独」の方が好きだ。
読み終わる。調べる。いろいろなことが分かってくる。サリンジャーは、第二次世界大戦に、従軍していた。激しい戦闘で精神的に追い込まれた。神経衰弱と診断された。入院した。そんなことが分かると、正直な話作品の印象も変わる。サリンジャーの作品は「戦場のでてこない戦争小説」だという評もある。なるほど。しかし、そのあたりが、もう少し分かりやすくてもいいだろう、とも思う。
自らを受け入れない世界へのいら立ちを、ここまで赤裸々にぶつけた小説は、他にないのかもしれない。だから、居場所がないと感じる若者に、読み継がれてきたのだろう。
不思議な話だ。読書会でサリンジャーの別の本、短編集を見せてもらった。「ライ麦畑~」の習作と思われる短編も収録されていた。「ライ麦畑~」の、一場面。その短編集の訳の方が読みやすく思えた。不思議な話だ。