【メモ】「くらげホテル」尾崎英子。ただよえども、ただよえども沈まず

くらげホテル

北欧には「くらげホテル」という名の秘密施設がありそこでは夜な夜な首から上は人間、その下はくらげというおそろしい人体実験が行われていた……というお話ではない。決して。
この本の書評を、Webのどこかで見かけ、あらすじと表紙が気になり、しかし買うほどではないと忘れていて、たまたま図書館で見つけ借りた。
つまり大した期待もはなく読み始めたのだが、読み始めたら一気に読んでしまった。

四人の、特別とは言えない人生が、少しばかり特別なシチュエーションで語られる。
それだけといえばそれだけの小説で、肩透かしのように感じる方も、いるかもしれない。ただ自分はその「何も起こらない」……違うか。
「少ししか変化しない」「答えが示されない」ところに何か、納得し、共感してしまった。読後感は不思議と爽やかだ。

爽やかなのだけど、この小説のつくりで、こんなに爽やかに思え、読後感が良いのかどうもよく分からない。みなさまに読んでいただき、教えてほしい。そう思わせる作品です。読んで読んで。

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