まだ「マクガワン・トリロジー」について。……遠い暴力と近い暴力。

メタルマクベスも見たんだけど、とりあえずまだ「マクガワン・トリロジー」について。

松坂桃李は存在がよかった。

一幕の最初、はしゃぐ松坂桃李は、上手く言えないがまだ若干役柄にアジャストしていないようにも思った。しかしだんだんと迫力に押され、それが気にならなくなっていく。

役柄はまったく素直ではないけどとてもとても素直な芝居をしていた。

上手くなるという「ウソ」を通らないようにしているのか。それは、主役級の役割を求められている人にしか許されないことだ。二幕と三幕の最後、松坂桃李を見て胸がつまった。

 

 

例えば1984年のアイルランド、あるいはその前にあった北アイルランド紛争の凄惨さ、さらにその前のイングランドとアイルランドのねじれ、その全てを正確に背負った、背負おうとした演出ではないのかもしれない。

その代わりに

「圧倒的な社会からのプレッシャーの中で」「その社会が欲しがった暴力の中で葛藤し、壊れていく人々」という視点を持ったのではないか。

作者もまた、アイルランド出身だがニューヨークで生活し、ニューヨークでこの戯曲は書かれたとのこと。勝手な想像だがある程度の抽象化は必然だったのかもしれない。いまこの作品を見た自分にとって、この作品は「リアル」だった。
あともうちょっと書きます。

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