LINEマンガ1巻無料 「ちいさこべえ」山本周五郎、望月ミネタロウ。……いつだって若者の気概は。

ちいさこべえ(1) (ビッグコミックススペシャル)

(LINEマンガで5月15日(火)まで1巻無料。AmazonKindleでも)

いや。よかった。これはよかった。

山本周五郎といっても、知っている人はもちろん知っているが知らない人はもちろん知らない(笑)。黒澤明の映画「赤ひげ」の原作など書いた人で、時代小説の名手と言われる人だが、司馬遼太郎や池波正太郎よりさらに一世代(?)前の人でもあるので自分も読んだことはなかった。そしてこちらも読んだことがない「バタアシ金魚」「ドラゴンヘッド」の望月ミネタロウがマンガ化したと聞き、気になっていたところLINEマンガで1巻無料となっていたので読んでみた。

火事で実家の工務店「大留」が焼け、両親をなくした若棟梁・茂次は、「どんなに時代が変わっても人に大切なものは、人情と意地だぜ」という父・留造の言葉を胸に大留再建を誓う。
そこに、身寄りのないお手伝いのりつ、行き場を失った福祉施設の子供達が転がり込んできて……ひげもじゃ若棟梁の崖っぷち人生劇場幕開き――

この作品紹介だと、NHKの泣かせるドラマみたいだが、舞台を平成に置き換えてマンガ化された本作は、”間”と”余韻”が丁寧に挟み込まれた、どちらかというと内省的な作品になっている。小説を読んでいないのでなんとも言えないが、原作を大切にしたからこそそういう作品になったのではないかと思う。江戸時代を、平成に置き換えたことの無理は感じない。感じさせないのは作者のセンスによるのだと思う。個人的には、「ブラ紐」と「ふともも」と「焼け野原の記憶」が、時代物を現代に結びつけたのだと思う。

そして。
91ページと92ページの、主人公の言葉が。

作品紹介には「意地」という言葉があったが、自分は「気概」という言葉のほうがしっくりきた。「気概」の意味を確認すると、

「自ら進んで困難に立ち向かっていく強い意志・気性を指す。」

あの場面での、主人公、若棟梁の言葉は、まさに気概だ。

だから「若者が、自ら進んで困難に立ち向かっていく姿」は、時代を越えてヒトの心を打つんだと思う。

このマンガは、第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。それと、フランス語に翻訳されて、2017年アングレーム国際漫画祭シリーズ賞も受賞しているそうな。だから繰り返すと

「若者が、自ら進んで困難に立ち向かっていく姿」は、時代を越えて、洋の東西なんかも問わず、ヒトの心を打つんだと思う。

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