読んだ本「江副浩正」馬場マコト・土屋洋

江副浩正

そこは「輝いてる」会社だった。リクルート。平成になったばかりの頃。自分が「会社」というものに入ったばかりの頃。雑誌などで見聞きするリクルートは、自分がCOBOLを片付けている「会社」とはずいぶん違って、別の世界の話だと思った。
創業者、社長だった江副浩正についての本。分厚い。5センチほどか。それでも一気に読んでしまった。しかしそれでも、江副浩正という人のこと、彼が何を考えていたかということについては、意外とあまり分からなかった。特に、リクルート事件の前のそれは。
「求人情報誌」という業界を。求人情報誌という雑誌を立ち上げただけでなく、誰もそんなものを考えていなかった頃から求人情報誌を「発明」し、就業についての心理テストを「発明」し、日本での情報産業を「発明」し、土地開発事業に参入した。三つも四つも企業をしたわけで、それらについての情報量だけでいっぱいいっぱいだ。内面まで入れる紙面がなかったのかもしれない。
リクルート事件以降についての描写もある。そちらは、多少様子が変わってくる。事件については……やはり、この国は新しいことをはじめた人を、大事にしない一面はあるようだ。事件がなくても、何かの形で江副浩正さんは失敗したのかもしれない。しかし事件がなければ、彼の後に続いた人をもっと沢山産み出してくれていたのではないか。「新しくなにかを作る」「新しく企画を作る」ことが苦手だと、苦手だと言っていていいのか?この本の中にはそんなこと一つも書いていないが。読み終わって思ったのはそんなことだった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする