なぜだろう。なんで「ゆうきまさみ」は、面白いんだろう。マンガ掲載アプリ、マンガワンで、ゆうきまさみの過去作「鉄腕バーディー」がイッキ公開中。4月20日まで。
ゆうきまさみの長期作品で言うと、「じゃじゃ馬グルーミン★UP!」のあと。「じゃじゃ馬~」のあと、同じく少年サンデーで連載を持ったが短期で打ち切りとなり、ヤングサンデーに戦場を移して、過去の短編のリメイクとして始まったものだ。
それが全てではないが、魅力のひとつは”絵”ではないか。ゆうきまさみの”絵”は独特だ。BSマンガ夜話で「パトレイバー」が特集されたとき、いしかわじゅんが「いまどきこんな太い線でマンガを書く人はいない」といった。月刊「OUT」の頃から見てるのだが決して絵のうまい人じゃなかった。
手塚治虫が、劇画に自分の領域を脅かされはじめた頃、「おれには(劇画のような)あんな絵は描けない」と言ったそうだ(大意)。手塚治虫の絵も、”かわいらしい”ものだった。ゆうきまさみも同じだ。「あ~る」の頃の絵はかわいらしいものだ。
「鉄腕バーディー」では、意外とたくさん人が死んでいる。シリアスで陰惨な場面も多い。しかし「かわいらしい」ところから始まった絵柄が、陰惨さを和らげている、結果として内容の割には読みやすい、愛されやすい作品となっているのではないかと思った。もちろん、場面を陰惨なだけでは終わらせない、作者のセンスが一番の要因だが……。昔~読んでる読者として、ゆうきまさみの”絵”について考えるときが来るとは思わなかった。人は成長するものなのだねえ(遠い目)(おい)。

読んだ本 ジャック・ロンドン(柴田元幸、訳)「火を熾す」