もともと私たちのような本好きは、誰かの書いた「本のための本」書評本が大好きだ。しかし書評本を読むと、ただでさえ頭の中で長ったらしい”読んでないけど読みたい本リスト”が、また長くなってしまう。墓穴を掘るような行為である。しかしそれでも私たちは書評本を読む。もう読まずにはいられない。
松田青子さんの本は、はじめて読んだ。
小説の方では難解だという評も多いが、小説や映画などを紹介している本書は、とても分かりやすい、そして楽しい。クリスティの「春にして君と離れ」、それと大黒摩季の「ら・ら・ら」関連を熱く語る文章には、思わず笑ってしまった。
が、読んでいるうちに気づく。この楽しさは、著者が見つけた戦うための手段ではないか。背景には、自分たちの性に対する、押し付けや抑圧への、抵抗がある。
終盤にある「フェミニズムで、遊べ」という題の文章が、印象的だった

読んだ本「シリアの秘密図書館」デルフィーヌ・ミヌーイ著……弱っているときに人は本が欲しくなるのか。