「So What?」わかつきめぐみ 1巻 白泉社文庫 (LINEマンガ無料2017年6月23日まで)
1986年……あれま。30年前か。おい。
リアルタイムで読んでた作品。この機会にちょっと思い出してもらいたい作品。あの頃の白泉社のコミックが持っていた他社とはちがう雰囲気、それを濃厚に持っていた作品だと思う。
内容の紹介に。
「じっちゃんの研究が引き起こした 秋津島家の空間のゆがみ。 異空間から出ては消えるエイリアンたちで 毎日が大騒ぎ!? ファンタスティック・コメディ!」
とある。
これだけ読むと、派手なコメディに見える。が、この派手な枠組みのなか、ドラマはちっとも派手にならない。演劇的に言うと、チェーホフだ。静かな演劇だ。例えば、確かにエイリアンは出て来るが、それで言えばエイリアンの日常しか出てこない。ある意味、盛り上がらない。しかし、気になる。自分で言えば、「この話が何で盛り上がらないのか」「しかし、それでいて忘れられないのはなぜか」、ずーーーーーっと気になっている。この作品が「静かな優しさ」を持っているという評があった。確かにそうだ。同時に、「静かなつらさ」も持っているのだと思う。楽しさは次に一歩を踏みだすことの力になることがあるが、踏みだしたあとは忘れてしまう。この作品の「静かな悲しさ」は、胸に残り、訪れる本当の悲しさに耐える力を、少し、こちらにくれるのかもしれない。