「スノウ・グッピー」五條瑛、読了。

日本海に自衛隊の開発した新装備、グッピーを搭載した戦闘機が日本海に墜落する。その場面から始まる五條瑛のエスピオナージ。2001年、光文社。(読んだのは2003年の光文社文庫)

始まり方から、日本海に沈んだグッピーをめぐる、海底での宝探しチョイスのような話になるかと思ったらそうではなかった。日本の戦後史の中での”ある組織”の肥大についての描写が多い。そういえば五條瑛の作品の中でも、この”組織”についての描写は、他の作品では意外に少ないかもしれない。

押しつぶされた人間の情念と、押しつぶされそうになる人間の反発のエネルギー。それと、全体を通した冷徹な視点が並び立っているところが五條瑛の面白さだと思う。

今作品でのその象徴。文庫に付属の短編の一節。
宇佐見は鍋をつつきながら、軽い調子で頷いた「小さな闘いがあちこちで起こる社会は健全だ。クラウゼヴィッツもそんなことを言ってなかったかな。要するに、戦いを全て否定する社会こそ不健全だと、私は思うがね」

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