倉本聰は、苦手で。食わず嫌いのように、苦手で。どちらかというと、避けてきた(山田太一も、同様)。
なにせ、「北の国から」は自分が昔いた施設では見ることが出来なかった。テレビを見ていい時間には放送していなかった。夜、9時までだもの。いや、見ることが出来たとしても、家族から離れた子どもの集団生活の中で、そんな悲しい話は見ない。悲しい話は、余裕のある悲しくない人たちが見るのだなんつって(ほんとか?)。
が。すみません。本当にすみません。
この芝居は、良かった。
倉本聰さんの言葉と、マッスルミュージカルなどを手がけてきた中村龍史さんの、バランスが良かったのか?鋭い言葉とエンターテインメントがうまくかみ合っていた。舞台写真からうっすらと想像していた。舞台上の走る姿はまるでわが懐かしの「惑星ピスタチオ」。いや関係ない。マッスルミュージカルからきた動きなのだろう。惑星ピスタチオのパワーマイムとは関係ない。だが自分の頭の中では、重なるのだ。20年前の正月2日に、さすがに店もろくすっぽ開いていなくて昼食を食べるのにも苦労した新宿の、シアタートップスの調光室近くの一番後ろの席で見た佐々木蔵之介のパワーマイムが、自分の頭の中では、自分の頭の中では、国民的作家の作品とかぶる。なんと感慨深い。
今日の静岡での公演の後、全国を回られるようです。お近くで公演があればぜひ。ただし、自分の席の近くで見ておられたらしい、比較的年の若いサラリーマンの方二人連れは、「なんだか分からなかった」。しきりと言っていた。その気持ちも分からなくはない。が、たいていの人は大丈夫だ。きっと。多分。ぜひ。