読んだ本:「グッドフライト、グッドナイト」マーク・ヴァンホーナッカー。それと翻訳家、岡本由香子さんのお話。

20160714_190617-240x427グッドフライト表紙20160710_130745-240x427岡本由香子さんの講演会

翻訳ものの本は売れないと前から言われている。ノンフィクションでも同じだ。

しかし去年、「グッドフライト・グッドナイト」という本が話題になった。イギリスの航空会社、ブリティッシュエアウェイズの現役パイロットが書かれた本だ。日本でいったら日本航空やANAのパイロットが本を書いたようなもんだ。
パイロットと言えばあれだ。制服だ。木村拓哉だ。このひとも制服着て帽子かぶって背筋伸ばして歩いていたらさぞかっこええんだろうなぁと勝手に想像している。

いや分かっている。そら分かっている。パイロットと言ってもみんながみんなシュッとしているわけじゃない。しかし、この人の、筆者の文章は本当にシュッとしている。私たちが分からない空の旅の様々なの事柄を、美しい文章で描いている。

朝、ロンドンの自分の家で起き、昼にアフリカに行き、夜またロンドンの自分の家で夕食を食べる、不思議な感覚。

様々な規則や法則で分割されている、世界の空。

アイスランドや北大西洋上空やニューヨークへ向かう時の様々な風。

アメリカの権威ある旅行誌がこの本を「サン・テグジュペリの夜間飛行以来の名作」と表したと帯にあった。
読み物としての性格は違うように思うけれど、空の描写は確かに似ている。

空という隔絶した空間を、筆者は美しいと感じたのだろう。

その美しさを、筆者は私たちのところへ届けようとしてくれているのだけれど、筆者自身もおそらく、すべてのことは伝わらないと、どこかで考えているのではないか。「夜間飛行」のイメージを、こちらが勝手に引きずっているのかもしれないが、パイロットの孤独をそこはかとなく感じた。
その孤独も含めて美しい、空の手触りが感じられるような美しい文章だった。

この本の、翻訳者の岡本由香子さんの講演会があるというので、日曜日に行ってきた。

戸田書店城北店。

奥の会議室?だったのだけど、申し込む人が多かったということで、始まる直前には満席状態。自分もかなり後になって申し込んだので恐縮……。

そんな中で登場された岡本さんは颯爽、いやほんとに颯爽という印象。

航空自衛隊に10年勤務された後、翻訳家になったという異色の経歴の方。活躍する女性ということで静岡新聞に記事が載ったこともあるとのこと。とてもパワーのある方で、防衛大学校へ行ったことや自衛官になった経緯。航空機の管制の経験談。翻訳のこと、翻訳のスケジュールのことなど面白い話をたくさん聞かせていただいた。

翻訳の話の中では、元々の書き手のイメージをとても大事にされているんだという印象。(文章から)絵を描くという言葉を使っておられたが、元々の書き手とイメージを共有するために、頭の中に画像を思い浮かべる、思い浮かべられるようになるために様々な資料を調べるということなのだと思う。資料は自腹で用意するので大変だとおっしゃっていたけど……。(演劇界でも演出と役者がイメージを共有するというのは結構難しい。それも同じような事なのかと思う)

最後には持って行った本でサインをいただくというミーハーなことをした。(去年の年末に戸田書店城北店で買った本なので勘弁してください……)とても楽しい集まりで、来てくださった岡本さんと、企画してくださった方々に感謝です。ありがとうございました。

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