ノンフィクション。”世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図”とか。
地政学とはなんじゃらほい?
Wikipedia的には
「政学とは地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究するものである。イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国等で国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的とした。」
政治番組などで、どっちかというと右っぽい人が、自分は頭がいいんだぞという文脈の中で「だけど地政学的には~」などと言うときが多いような気がします。国防とか国境問題とか国際情勢とかの話の中で。
(あと、ウォーゲーム界隈。むかし、格好を付けて言ってみたことがあります。自分のパーソナリティーのせいか、言ってみても格好良くはなりませんでしたが)
本書は後半、未来戦記小説のようになっていて、その部分はどうも眉唾だと思います。
ただ、前半、20世紀終わりまでのアメリカを中心とした国家間のパワーバランス、成り立ちとどう変化してきたか、その分析は興味深いものだったと思います。
例えば
「アメリカ文化は実用性にこだわり、形而上学を軽視した」
「アメリカ文化は真実や美を扱うのが得意ではないということである」
「何かを達成することや、自らの行動の意義について考え込まないことが良しとされる」
またこの実用主義、効率主義の象徴としてコンピュータやC++などのコンピュータ言語を挙げています。
確かにプログラミング言語には情緒もへったくれもない。分析として納得させられたところではあります。
いや、こんなことは些事なのですが。
「先進国における出生率低下の要因」「結局のところアメリカはなんで強いのか」など、考えさせられる分析も多くありました。
いろいろな考えの材料のひとつとして、読んでいい本だとは思います。