読書「はだかの太陽」アイザック・アシモフ。望んで入った閉塞。

はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

先日「鋼鉄都市」を読んで。読み返して。
大傑作だと言われている作品なので、面白いのは当然なのだけど。
それにしても面白かったので、続編の「はだかの太陽」を慌てて読み返しました。家の中でどこにあるのか分からないので、図書館で借りました。

閉塞感、ですね。溢れんばかりの閉塞感、ヘンな話ですが。
「鋼鉄都市」では、閉塞感は当然でした。大都市、現在よりもさらに人口が増え、過密になっている大都市ニューヨーク。それもエネルギーの節約のために人工的に、空まで、鋼鉄で覆われた閉鎖された大都市です。閉塞感はあって当たり前です。
今回は舞台はまったく違います。
植民惑星ソラリア。人口は完璧にコントロールされていて、すべての人間は広大な領地を与えられている。エネルギー、土地は溢れんばかり。そんな舞台でも、刑事イライジャ・ベイリが闘う相手は、「鋼鉄都市」と同じような閉塞感、のように思いました。
飛行機嫌いとして有名だったアシモフだから、そういった文章を書いたのかもしれません。しかしそれだけではなく、人間は自ら閉塞感を作り出しているのだ、という皮肉だったのかもしれません。

そういえば、相棒ダニールは、今回は「鋼鉄都市」ほど、主人公ベイリと行動を共にしません。アシモフは、なんでそんなふうにしたんでしょう?勝手な感想ですが、ダニールの出番が鋼鉄都市ほど多ければ、鋼鉄都市を凌ぐほどの傑作になっていたのかもしれない。でも、あのひとが出てきたので、ダニールの出番を減らしたのかもしれない。愛の矛先はひとつでいい(笑)、のかもしれない。

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