世紀の空売り | |
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マイケル・ルイス 東江 一紀
文藝春秋 2010-09-14 |
ノンフィクション。
「世界経済の破綻にかけた男たち」と副題にあります。
サブプライムローンに関するファンドを、空売りした、ということのようです。サブプライムローンの価値が下がれば下がるほど、空売りした人はもうかる。
「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」と対にして読むといいかもしれません。ただ「リーマン~」は、金融システムの崩壊を描いていたわけですが、最終的に大破綻はまぬがれた、ということで読んだあとに高揚感があったのですね。ですが「世紀の空売り」は、サブプライムローンの崩壊でもうかった人たちの話のはずなのですが、なんだか成功した人たちという感じがしない。読み終わったあとに妙な寂寥感があります。なんだろう、これは。著者はもともと、アメリカの証券会社の内幕を描いてノンフィクション・ライターとしてのキャリアをスタートさせたようです。ざっとチェックしたかぎりでは、その後は金融業界ものは書いていなかったようで。著者の”苦さ”がはき出された本なのかもしれません。著者が、自分の思いを託しやすい人たちを、選びに選んで、その人たちを素材として描いた本なのではないかと思います。
やっぱり「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」と対にして読むといいと思います。「リーマン~」も出来がよくて、登場人物に感情移入してしまう。米証券会社の責任者が、破綻しなかった、ということで読んでるこっちが、ホッとしてしまう。いい人に思えてしまうんですね。「世紀の空売り」の登場人物たちは、ノンエリートです。破綻してしまうようなサブプライムローンを売り続けた人たちや、それを止めなかった証券会社のお偉いさんがちゃんとバカに思える。こないだどこかの格付け会社が日本国際を格下げして大騒ぎになりましたが、この本によると、格付け会社の人たちも「マヌケ」(笑)だそうです
コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。