研辰の討たれ

 最後の「段」が。
 いや、この「段」というのが、わしらがふだん言うところの「幕」にあたるんだろうきっと。その「段」が積み重なっていって。五「段」目だったか、六「段」目だったか、とにかくその最後の「段」が。
 良かった。
 なんかね。いや。良かったですよ。
 それまでの場面が、いやすみませんでも、すごくノリが良くて楽しかったんだけど、その分ちょっととっちらかったかなと、そんな印象もあったんだけど、その分最後に、全てのドラマが凝縮されていた。
 勘三郎さん演じるところの「研辰」が、辰次が、討たれそうになって、命乞いをする。
 「死にたくない」と、命乞いをする。その命乞いが、みっともなくて、情けなくて、でも格好良い。この場面の勘三郎さんは、もう、「生きてるだけで」良い。そう思った。
 最後の一葉の紅葉が、また。
 
 ただ、カタルシスがある、というだけではない。最後の後味は、少しばかり悪い。それが、野田秀樹がこの芝居に与えた味だ。きっと

研辰

今夕「研辰の討たれ」を見に行く。
野田版の歌舞伎。
もちろん生じゃなく。
シネ歌舞伎という奴。
どんなもんか楽しみだ。
しかしながら、静岡市民文化会館で夜6時半。
やってくれるのはうれしいのだが、時間はキツイ。
果たして、うまいこと会社抜けられるだろうか?!

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