最後の「段」が。
いや、この「段」というのが、わしらがふだん言うところの「幕」にあたるんだろうきっと。その「段」が積み重なっていって。五「段」目だったか、六「段」目だったか、とにかくその最後の「段」が。
良かった。
なんかね。いや。良かったですよ。
それまでの場面が、いやすみませんでも、すごくノリが良くて楽しかったんだけど、その分ちょっととっちらかったかなと、そんな印象もあったんだけど、その分最後に、全てのドラマが凝縮されていた。
勘三郎さん演じるところの「研辰」が、辰次が、討たれそうになって、命乞いをする。
「死にたくない」と、命乞いをする。その命乞いが、みっともなくて、情けなくて、でも格好良い。この場面の勘三郎さんは、もう、「生きてるだけで」良い。そう思った。
最後の一葉の紅葉が、また。
ただ、カタルシスがある、というだけではない。最後の後味は、少しばかり悪い。それが、野田秀樹がこの芝居に与えた味だ。きっと

炊飯器で、釜を入れずに炊飯をした。大失態だ。