ねこのばば | |
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畠中 恵
おすすめ平均 |
”単行本では買わないけど文庫本になったら必ず買う”ことにしている「しゃばけ」シリーズ第3弾。好きなんです。好きなんですけど。単行本では、この続きも出てるんですけど。(笑)。やっぱり単行本は高いですよね~。そこまでは出さなくてもいいかという、自分の中では微妙な位置づけにあるシリーズです(笑)。好きなんですけど。
時代物というとですね、「厳しげな男」、「苦しい生活」、「食うに食えない」、そういうイメージがどーんと出てくるんですけど、そこへ「金持ちの」「甘やかされてる」「病弱な」若旦那を主人公として持ってきたところが目新しく、わたくしたちのですね、「俺たちって甘やかされてるじゃん」感を刺激して受け入れられてるんだと思います。前にも書きましたがエヴァのシンジ君状態ですよね。のび太くん状態という話もありますが・・・。
しかしですね(以下ネタバレ)
特に2作目以降、短編になってからだと思うんですが、重い部分も、あります。「花かんざし」なんかは”世の中ちょっとくらい頑張ってもダメなときはダメなんだよ~ん”という話だし、「産土」なんかもちょっとやーな(笑)話ですよね。でもその重さを支えているのが、若旦那と妖怪たちの甘~い関係なんでしょう。やっぱりエンターティメントには甘さ、華やかさも大事なんだと思います。
ところで、いま気がついたんですが、このシリーズって若旦那以外の登場人物のイメージが、自分には出てきません。いろいろな人間とか、妖怪とか(笑)、出ているはずなんですが、なんていうのか、若旦那以外は、ひとりひとりの顔とか姿とかは思い浮かばない。誰々が好き、とか誰かはそうでもない、とかそういうこともない。手代としてずーっと登場していて、それぞれが主役の短編もある二人、いや二妖怪、仁吉と佐助の区別がいまだにつかないんです。芝居の世界では、登場人物にたとえ主役でも「男1」とか「女1」とかいう名前しかついていないことがときどきあるんですが、このシリーズでも若旦那以外は「人間1」「妖怪2」「子供3」そんな感じでも、もしかしたらいけてしまうかもしれない。世界が若旦那と若旦那以外だけで構成されていて、つまりは全ては若旦那の内的世界なのではないかと(大笑)やっぱり若旦那=シンジ君?(笑)