役者から質問されるとうれしい。
演出意図、というほどえらそうなものでもないが、それが、伝わっているのかどうか、確認できるからだ。
もしも伝わっていれば、もっとうれしい。もし伝わっていなかったとしても、どのへんが伝わっていないのかというヒントになる。
もちろんその前に、自分の狙いは説明する。説明はするが、説明というのはこっちがしゃべるだけである。役者に伝わった、理解されたかどうかは分かない。これはもう本当に、さっぱり分からない。そのあとの役者の芝居を見るか、質問を受けるかということでしか分からない。
つまり質問をする(これは別に演出に対してでなくてもいいのだろうが)ことは、役者が自分の役をどう思っているのかということを他人に説明する機会なのかもしれない。
昔、人に、質問をよくする役者は伸びると言われたことがある。
それは、自分の役について自分はどう思っているか他人に説明するのに慣れるということなのかもしれない。
本番で役者がやることというのも、観客に対する役の説明、ストーリーの説明だ。

まだ「マクガワン・トリロジー」について。……遠い暴力と近い暴力。